イノチ拾い...
2002年4月6日右わき腹上部にしこりがあることに気づいたのは、去年の春頃だったろうか?
痛みはなかったが、妙に気になった。でも、毎日の忙しさにまぎれてそれが何だったのか確かめることをせずに、1年近くが過ぎてしまった。
3月半ば、風邪をひいた。子供たちが続けて風邪をひき、やっと大体治ったところだった。熱もそんなに上がらず、すぐ治るかと思えば、変にだるくて、力が入らない。そのうち夜も眠れないほど咳がひどくなり、一向に良くなる気配がないまま、日が過ぎていった。
そうしているうちにやせてきたのに気づいた。体重を量ると2kg減っていた。
これは変だぞと嫌な気がし始めたころ、横になっている時に、わき腹のしこりに触れた。
手であらためて探ると、こぶしよりちょっと小さめくらいの大きさ。去年見つけた時より大きくなってるみたい。やばいヤバイやばい。これって、もしかして悪いものなのかも。
ケイコさん(3月4日日記参照)が、がんだって診断される前あたり、風邪が長引いて具合が悪いって言ってた気がする。
心は焦りつつ、夫の休みがなかなか取れず、先週ようやく病院に行くことができた。
CTの技師の人が、場所を確かめるのに、わき腹を触れた時、「あっ、ホントだ。確かにある」と驚いた声を出した。そうか、やっぱり異常だよね。こんなに放っといて、もう手遅れに違いない…。
一番気になったのは、子供たちのことだ。
一緒にいてやれなくなるのかなあ、私がいなくなったら、どうなるんだろう。
夫が再婚して、誰かが育ててくれるのかな。虐待なんかされないかな?
はるたは、もしかして私のこと少しは覚えててくれるかもしれない。でも、1歳半のあかねには無理だろうな。お母さんってどんな人だったんだろうって思いながら、寂しい気持ちで成長するのかな。
二人の成長を見届けたい、それさえ出来たら何にもいらない。でも、もう、許されないことなのかも…。二人がいつものように、私の手を奪い合うように求めるごとに、私は切ない思いがした。桜の花の美しさも、春の光のまぶしさも、もしかして、今年が最後かもしれないという思いが付きまとった。
そして、今日である。
呼ばれて診察室に入ると、一面に胴体の輪切りのレントゲン。医師が説明してくれる。
「これが肝臓、これが左の腎臓、そして…。」しばらくたってから、「これが右の腎臓です」あれ、何かヘン。図鑑なんかの絵では、腎臓って左右対称だったはず?「普通、腎臓は一定の位置にあるんですが、ゆうそうじんといって、生まれつき位置が定まらないで、あっちこっち移動することがあるんです。」遊走腎、聞いたことがある。わき腹で触れた硬いものは、遊んで走る私の右の腎臓だったのだ。
厳しい治療とその後の死を、なかば覚悟していた私は、一気に力が抜けた。遊走腎は放っておいても支障はないのだそうだ。
病院を出ると光がまぶしい。とんでもない宝くじに当たったみたいな気がした。
迎えに来てくれた夫と子供たちを、心の底からいとおしいと思った。
痛みはなかったが、妙に気になった。でも、毎日の忙しさにまぎれてそれが何だったのか確かめることをせずに、1年近くが過ぎてしまった。
3月半ば、風邪をひいた。子供たちが続けて風邪をひき、やっと大体治ったところだった。熱もそんなに上がらず、すぐ治るかと思えば、変にだるくて、力が入らない。そのうち夜も眠れないほど咳がひどくなり、一向に良くなる気配がないまま、日が過ぎていった。
そうしているうちにやせてきたのに気づいた。体重を量ると2kg減っていた。
これは変だぞと嫌な気がし始めたころ、横になっている時に、わき腹のしこりに触れた。
手であらためて探ると、こぶしよりちょっと小さめくらいの大きさ。去年見つけた時より大きくなってるみたい。やばいヤバイやばい。これって、もしかして悪いものなのかも。
ケイコさん(3月4日日記参照)が、がんだって診断される前あたり、風邪が長引いて具合が悪いって言ってた気がする。
心は焦りつつ、夫の休みがなかなか取れず、先週ようやく病院に行くことができた。
CTの技師の人が、場所を確かめるのに、わき腹を触れた時、「あっ、ホントだ。確かにある」と驚いた声を出した。そうか、やっぱり異常だよね。こんなに放っといて、もう手遅れに違いない…。
一番気になったのは、子供たちのことだ。
一緒にいてやれなくなるのかなあ、私がいなくなったら、どうなるんだろう。
夫が再婚して、誰かが育ててくれるのかな。虐待なんかされないかな?
はるたは、もしかして私のこと少しは覚えててくれるかもしれない。でも、1歳半のあかねには無理だろうな。お母さんってどんな人だったんだろうって思いながら、寂しい気持ちで成長するのかな。
二人の成長を見届けたい、それさえ出来たら何にもいらない。でも、もう、許されないことなのかも…。二人がいつものように、私の手を奪い合うように求めるごとに、私は切ない思いがした。桜の花の美しさも、春の光のまぶしさも、もしかして、今年が最後かもしれないという思いが付きまとった。
そして、今日である。
呼ばれて診察室に入ると、一面に胴体の輪切りのレントゲン。医師が説明してくれる。
「これが肝臓、これが左の腎臓、そして…。」しばらくたってから、「これが右の腎臓です」あれ、何かヘン。図鑑なんかの絵では、腎臓って左右対称だったはず?「普通、腎臓は一定の位置にあるんですが、ゆうそうじんといって、生まれつき位置が定まらないで、あっちこっち移動することがあるんです。」遊走腎、聞いたことがある。わき腹で触れた硬いものは、遊んで走る私の右の腎臓だったのだ。
厳しい治療とその後の死を、なかば覚悟していた私は、一気に力が抜けた。遊走腎は放っておいても支障はないのだそうだ。
病院を出ると光がまぶしい。とんでもない宝くじに当たったみたいな気がした。
迎えに来てくれた夫と子供たちを、心の底からいとおしいと思った。
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